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2011年 09月 25日

このバイク

SV1000と言うバイク
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ウィキペディアで調べれば分かりますが、本当に不人気なバイクで、特にSV1000Sではなく、この「SV1000」はほんの数年しか生産されていない様です。
実際、このバイクは見た事がありません。

でも、走ってみるとしみじみ楽しいバイクです。
ちょっと印象を書きたいと思います。

まずこのバイク一番の特徴は、なんと言ってもエンジン。
このバイク_f0010196_031796.jpg

1000ccもの大排気量で、90度Vツイン。しかもビックボア、ショートストロークなのでレッドゾーンは11000rpm と言うバカ野郎です。
そう言う性格上、1速ギアはギア比が低く設定されている様で、引っ張ってもせいぜい90km/hまでしか出せませんし、加速も「まぁ速いな」と思える位。その代わりにとても発進しやすくて、大排気量のVツイン、と言う特殊性は殆ど感じる事なく普通に走り出す事が出来ます。
さすがは日本製、お客様を大事に扱ってくれます。

しかし、そのつもりで2速に上げて、アクセルを開けると、そこからは別世界です。強烈な加速を見せます。
しかし、不思議なのは乗り手を振り解く様な暴力的な感じではありません、まるで飛ぶ様な感じです。それをして。「魔法の絨毯」と言う表現を使った訳です。
このバイク_f0010196_033268.jpg

もうひとつ、このバイクの面白い所は、その加速感がどんな速度域でも同じ様に味わえる事です。
信号発進で味わえる、上に書いたような胸の好く加速感が、高速道路でも同じ様に味わえます。アクセル一捻りで飛ぶ様な加速感です。
要するにトルクが太く、その出方が一定なので、どんな時でも同じ加速感を味わえる、と言う事です。
と言う事はこのバイクをして、バイクの前に存在する「道」はどんな道でもただの「道」になってしまいます。高速だ、とか、一般道だ、とか。上り坂、とか。下り坂、と言うのは無意味です。速度のコントロールはアクセルとブレーキ。曲がる為にはバンク、と言うバイクによる走りの楽しみだけが純粋に味わえます。これはなんとも楽しいバイクです。

ネットではしばしば「低速トルクが無い」などと書かれていますが、それは大きな誤解です。そもそも1000ccのVツインで低速トルクが無い訳ありません。逆に強すぎて低速ではノッキングが起こりますが、それはいくらなんでも仕方ない事です。街中を普通に走る時は6速は使えません。5速で十分です。

乗る前、一番懸念していた振動は、非常に心地よく演出されています。逆に大排気量のVツインである、と言う事から想像する「ドカドカ感」を期待する人には絶対にお勧めできませんね。(いわゆるドカティやハーレー、ビューエルの様な)それ位に「普通のバイク」的な感じです。
しかしまったく振動が無い訳ではない所がこのバイクの憎い所。加速すると、気持ちよい「たらららら」と言う端切れたパルスを足裏に感じつつ腰が前に押されていきます。
そしてエンジンブレーキも極々普通に使う事が出来ます。ギア比とエンジンの出来が絶妙で、設計者の強い意図を感じます。

この無印良品の様なサイレンサーも、実に静かで気に入っています。アイドリングでは排気音よりもメカノイズの方が大きい位で、ちょっと肩すかしを食らう感じですが、早朝のマンションでも気兼ねなく暖機運転が出来ます。
このバイク_f0010196_0334061.jpg

世の中大排気量のバイクと言えば判で押した様に4気筒エンジンが主流で、排気音も格好いいのですが、このバイクはそのベクトルからは離れた所にあり、それが不人気の原因と思うのですが、その短所を補って余りあるバイクの楽しみがギュッと詰まった一台です。
月並みですが、「走る楽しみ」を純粋に味わえる、と思っています。

今はこのバイクはグラディウス650 となっていますが、大きなバイクをお考えなら、是非、候補にいれてみては如何でしょうか?

by jmiin | 2011-09-25 00:36


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